空間情報デザイン研究室
空間情報デザイン研究室 小林一郎
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2008.08.19   パリ



8月18日
8時起床。昨夜からバストイレ付きの部屋に移ったので、快適。食堂に行くと日本人が2人座っていた。日本語を聞くのは久しぶり。福田首相が日中平和友好条約を締結したとか。外は、日差しは強いが、風があるので、爽やかな秋晴れ。午後にはSolexを例の税関の親父に売りに行くので、それまで最後のドライブをすることにしよう。

9時半外へ出る。Solexが見あたらない。誰か場所を移したのだろうと思い、周囲を探すがない。ホテルの玄関まで戻ると、外灯にはサイクリング用の自転車が2台立てかけてある。フロントに「盗難が起こった」事を告げる。自転車の主は髭ずらのアメリカの大学生である。英語で盗まれたが出てこない。フランス語を喋る気分にならない。良いことなら身振り手振りで楽しくやるのだが、茫然自失。

主人に向かって、「あなたがあそこで良いと言った。責任はホテルにある。」といいたいのだが。3晩も外灯の下にさらしておけば、パリなら盗難に遭うに決まっている。ホテル内にいれておくべきだった。どうすべきかと思って(実際は何も考えてはいなかった)じっとしていると、主人が、盗難の申告のためのメモを書き始め、これを警察に届けるようにという。親切にもオフィス(警察署)も教えてくれる。

この感覚のずれはどうしようもない。日本なら、主人は平身低頭し、恐縮しながら、一回り探しにでるだろう。自分たちも被害者の心情を共有し、その上で、警察に電話を掛けてくれるはずだ。しかし、ここでは、あくまで僕だけが、被害者だ。警察に行くことをすすめること自体が、特別な親切なのだろう。同情ということが態度に出ない。

北駅東側のオフィスは正しく事務所だ。若い事務員が3人いてタイプの前で事務処理をしている。隣には、僕以上に落ち込んだドイツの青年が座っている。ドイツ語でボソボソ話している。あとで聞いたら、有り金全部盗まれたらしい。この時点で、僕はこう思った。「どっちみち、Solexは駅の税関吏の奥さんにプレゼントするつもりだった。別段、落ち込む程のことではない。処理に要する時間が浮いた分、はやく最終日の観光を始めるべきだ。ある面ホットしている」はずだ。けれど、頭で理解できても、心が満たされないことは良くある。

「もし、バイクが出てきたら、日本に送って良いか。」「そのとき、送料は当然着払いだ」といった感じのことを、フランス語で女性事務員が聞いてくる。OuiとNon以外の言葉が浮かんでこないし、どちらを答えればいいのか、よくわからない。隣の彼のせいなのか、ドンドンと気持ちが落ち込み、厭世的になっていく。この部屋に入ってきたときが、一番楽観的だった。調書ができた。バイクが発見されても、所有権は放棄する事になった。ヘルメットを持っていることい気づき、ホテルに戻る。自転車が2台フロント横の廊下に移動している。なんだか、ほほえましい。部屋に上がり、いらなくなったもの置いてくる。

明日の空港行き列車の時間を調べに駅へ行く。ついでに、税関のおじさんに会いに行くが、彼は非番とのこと。3時に会う約束だったのに、来る気はないらしい。同僚に盗難の件を伝言し、別れる。盗難関連のフランス語にかなり強くなっているので、すらすらと状況がしゃべれる。小1時間、そればっかり話していたのだから当然ではある。

Solexを売った金で自分のお土産を買うつもりだったが、所持金も少ないので、チェスの駒だけ買うことにする。再び、リュクサンブール公園で、チェスを見るが、チェスクロックつきの勝負にこだわるゲームは気分が悪い。ドイツののんびりしたゲームが懐かしい。




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